伊藤大使の西コルドファン州訪問
平成30年1月30日
伊藤大使の西コルドファン州訪問
2018年1月15日から17日、伊藤秀樹大使は、西コルドファン州アビエ郡ムジュラド町を訪問し、日本政府からUNICEF注1)およびUNDP注2)への資金拠出を利用した支援の現場を、視察しました。
西コルドファン州は、2013年に誕生した新しい州であり、日本大使が訪問するのは、今回が初めてのことになります。なお、伊藤大使は、本訪問により、スーダン全18州すべてへの訪問を行ったことになります。
首都ハルツームから西コルドファン州への道のりは遠く、まず、空路で1時間ほどかけて、北コルドファン州まで向かいます。その後、UNICEFの提供する車に乗り、陸路で3時間以上走ると、西コルドファン州の州都であるエル=フーラに到着します。
西コルドファン州政府高官との懇談会 ムジュラド病院産科部門視察の様子
州庁舎では、西コルドファン州財務大臣(州知事代行)の主催により、州政府高官らとの懇談会が開催されました。出席者からは、これまでの日本の支援に対する感謝の意が表されるとともに、荒廃したインフラや公共サービス復旧のための支援が必要である旨、伝えられました。
州都エル=フーラから訪問先のアビエ郡ムジュラド町までの道のりは、全く舗装されておらず、轍(わだち)のみが頼りであるため、車でさらに3時間以上かかります。翌朝6時半に出発し、軍警護車に先導されながら、未舗装路を踏破しました。
現地に到着した伊藤大使は、ムジュラド病院を訪問しました。右病院では、UNICEFが日本政府からの拠出金を利用して、助産師の育成、栄養失調対策、予防接種などの事業を行っており、その現場を視察しました。
また、UNDPへの資金拠出を介した、コミュニティ治安・安定化プログラムの現場も視察しました。これは、地域住民や紛争被災民の経済的自立などを促進し、平和の定着を支援する案件であり、地元のDDR注3)委員会と協力して実施されています。現地では、本案件によって制作された野菜や穀物が、展示されていました。
収穫用トラクターの前で記念撮影 記念品を贈呈される伊藤大使
訪問先では、アビエ郡長や地域住民らから、日本の戦後の復興や日本製品への高い賞賛とともに、日本政府による支援に対して、謝意が表されました。
伊藤大使はスピーチの中で、本案件は、人々の生計手段などを強化することで、貧困と紛争の悪循環を断ち切ることを目的としており、日本が戦後の荒廃から復興したように、南部スーダンもその連鎖から立ち直れることを信じていると、語りました。また、2年前にハルツームで引き渡された収穫用トラクター同様、今回供与されたトラクターも、末長く活用され、日本からの支援として長く記憶に留まることを願っていると、伝えました。大使スピーチのアラビア語原文および英語訳は、それぞれリンクをご覧下さい。
ムジュラド町では、日本政府からの拠出金により、UNICEFを介した人道支援と、UNDPを介した開発支援が、互いに補完し合いながら同時並行で実施されており、その相乗効果が期待されています。
なお、本訪問については、UNICEFからプレスリリースが発出されました。
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注1)UNICEF, United Nations Children's Fund(旧United Nations International Children's Emergency Fund) 国際連合児童基金
注2)UNDP, The United Nations Development Programme 国連開発計画
注3)DDR:Disarmament武装解除、Demobilization動員解除、Rehabilitation社会復帰