当地紙による伊藤大使インタビュー

日本政府の支援に、隠された政治的意図はない


 2017年2月12日、当地Sudan Vision紙のラシード編集長が、日スーダン関係について伊藤秀樹大使にインタヴューを行いました。2月28日に記事が掲載されましたところ、日本語訳を紹介します(こちらからもご覧になれます)。

Q:日本政府は、どの分野を中心に、スーダンを支援していますか?
A:日本政府は、農業開発、基礎生活分野、平和の定着の三つの分野を中心にスーダンを支援している。
 一つ目の農業開発に関して、日本政府は、六つの州で陸稲栽培を支援している他、リバーナイル州では、三年前にアリアブ、二年前にキティアブに、灌漑施設を建設している。
 二つ目は、基礎生活分野の領域であり、保健、水、職能訓練、環境問題などが含まれる。保健分野では、助産師育成で長い経験を持っており、僻地で勤務する助産師の大部分が、何らかの形で日本の訓練を受けていることを、誇りに思う。また、ハルツーム州のウンバダ病院に母子病棟を建設中である。ご存じのように、ハルツーム市のイブン・シーナ病院も、日本政府の支援を受けた病院である。水支援では、白ナイル州のコスティ市に浄水場を建設し、また、現地の水公社を指導して、その運営能力を強化している。水分野に関わっているスーダン人公務員の大部分が、同じく何らかの形で、日本の訓練を受けている。
 職能訓練は、カッサラ州と北コルドファン州を中心に、スーダン全土で行っている。また、2010年からは環境問題に取り組んでおり、ハルツーム州と協力して、ゴミ処理問題を支援している。日本式の定時定点収集ゴミ回収システムを導入し、これを日本から提供した104台のゴミ収集車で回収するのである。車両整備工場も建設した。
 三つ目は、平和の定着である。日本政府は、カッサラ州で、かつて日本政府が建設した水処理場を三年前に改築し、更に、新たな給水施設を整備した。カッサラに行けば清潔な水がご利用になれると思うが、それは日本が支援したものである。
 ダルフールでは、保健や水に関わる公務員を訓練している。公務員が地域住民に質の高いサービスを提供することで、お互いに信頼関係が醸成され、これは地域の安定に結びつくはずである。
 以上が、日本政府によるスーダン支援の、三本柱である。

Q:日本政府は、スーダンにおける太陽光発電について、支援計画はお持ちだろうか。
A:再生可能エネルギーを導入することを試みている。例えば、太陽光を利用した井戸を用いて、零細農家を支援する計画を持っている。

Q:スーダン人の若年層に対する支援について、お聞かせ願いたい。
A:日本政府による支援は、JICAに加えて、GGP注1というスキームも持っている。GGPを用いて、これまでに、スーダンで70以上の支援を行ってきた。例えば、2014年9月に日本大使として赴任して以来、8校の小学校を譲渡してきた。リバーナイル州のムトマル村、ゲジラ州のワド・アル=マヒ、西ダルフール州のフォロバランガ、カッサラ州のハトミア地区、白ナイル州のニゼーハ村、北コルドファン州のマンスーラ村、センナール州のアブー・フジャール村、そして北部州のタンガシ・アールウェイズ村である。
 2月13日には、北コルドファン州に出張し、タバルディーヤ村で小学校の引き渡し式典に出席するところである。さらに、カッサラ州のニューハルファ郡でも小学校建設が決まっている。また、ハルツーム市では、サジャーナ・ユースセンターの運動器具を整備した。2020年には東京オリンピックが開催されるところ、日スーダンのレスリング選手が、相互に訪問を行っている。
 以上が、日本政府による、若年層スーダン人に対する支援である。

Q:日本語を学習しているスーダン人は多いのですか?
A:ハルツーム大学には、日本語コースが設けられている。残念ながら人数に限りがあるため、希望者全員の要望には応えられていない。

Q:スーダン各地で支援を行う上で、何か障害はありますか?
A:些細なことを除けば、全般的に問題はない。しかし、ハルツーム州外への移動の際に義務づけられている渡航許可証の取得に時間がかかる。これまで発行を拒否されたことは一度もないが、手続きが迅速化されればありがたい。日スーダン関係を促進するのが日本大使としての職務であり、日本政府の支援に、隠された政治的意図はない。

Q:米国の制裁解除が、日本との貿易に対して何か影響するとお考えですか?
A:経済制裁が解除されることは喜ばしい話である。しかし、半年後に何が起こるかを予想するのは難しい。海外送金が制裁の影響を受けてきた。銀行のオーバー・コンプライアンスが存在するため、制裁解除後、銀行の方針がどう変わるかについて関心を持っている海外からスーダンへの投資環境は改善されるかもしれない。

Q:最後に、スーダン人へのメッセージを一言。
A:初めてハルツーム州の外に足を運んだのは、ゲジラ州のショカバ村で、ドクター・カーの引き渡し式典に出席した時だった。スーダンに来て間もなかったため、当地の歓迎の流儀を心得ておらず、住民が拳を振り上げ刀をかざしているのを見た時は、抗議を受けるのかと思った。しかし、彼らが日本の支援に感謝し、自分を温かく歓迎していることが、すぐに分かった。日本政府の支援によってスーダン人が幸せに暮らしているのを見ると、われわれも幸せになる。
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 注1)GGP: Grant Assistance for Grassroots Human Security Projects 草の根・人間の安全保障無償資金協力