日本企業の方々へ ~テロ支援国家リスト指定解除について~

令和2年12月17日
日本企業の方々へ
~テロ支援国家リスト指定解除について~

1.2020年12月14日(米国時間)、米国政府は、スーダンのテロ支援国家リスト(SSTL)指定解除を正式に決定しました。
 
2.上記決定に関して、我が国は、12月17日付外務報道官談話を発出し、今般のSSTL指定解除を歓迎する旨発表しました。同談話の内容は、外務省ホームページから閲覧可能です。

3.政治的安定性や(特に地方における)治安上のリスク、投資・ビジネスに関する法整備等の課題は残りつつも、今般のSSTL指定解除に伴い、当地における国際送金能力の回復及び外国企業の進出が促され、スーダン経済の発展につながることが期待されます。当地では既にSSTL指定解除後を見据えた各国の動きが見られており、以下にその一部をご紹介いたします。

(1)米国
 - 「ゼネラル・エレクトリック(GE)」社
 10月15日、米「ゼネラル・エレクトリック(GE)」社とそのパートナー企業であ る米「モニター・パワー・システム(MPS)」社及び多国籍企業「ABBグループ」の代表団がスーダンを訪問。GE社と当地エネルギー・鉱物資源省は、スーダン国内の発電量を最大470MW増加させることを目的とした了解覚書(MoU)を締結。同覚書では、既存の国内発電所3基に同社のモバイル・ガスタービンを搭載することで、60万世帯に電力を供給することで合意。
- 「ボーイング」社
 11月30日、米「ボーイング」社代表団がスーダンを訪問し、当地首相を表敬訪問。その際、同首相はスーダンのフラッグ・キャリア「スーダン・エアウェイズ」社に対し、「ボーイング」社と有効なパートナーシップを構築するよう指示した。会談に同席した当地インフラ運輸大臣代行は、会談では両社の将来的関係、及び「ボーイング」社の当地における様々な投資機会が協議されたと発表した。

(2)オランダ
 9月23日、スーダン政府とオランダ政府は、ガムアラビック産業の付加価値強化を目指し、ダルフール地方、コルドファン地方、その他各州におけるガムアラビック加工工場の建設・稼働支援を実施するための合意を締結した。
(3)UAE
 10月5日、UAEの「IHC Food Holding」社と当地「DALグループ」社は、当地リバーナイル州における農地開拓共同プロジェクトの実施に関する合意を締結した。右合意では、5年間に亘る2億2,500万米ドルの投資により10万エーカー(約404万ヘクタール)の土地を開拓するとした。同プロジェクトの成功により、スーダンの国内消費及び輸出向け農作物の最大年間生産量は40万トンを超え、同国の輸出歳入は今後10年間に亘り約10億米ドル増加し、同国国内に5,000人以上の新たな雇用が創出される見込みとのこと。

 
4.以下、参考情報として、当館で把握しております当地の一部産業部門の概要情報をご紹介させていただきます。
(1)農業部門
 農業はGDPの約3分の1、雇用の50%以上を占めるスーダンの基幹部門である一方、同国は国土の約6割が耕作適地であるにもかかわらず農地として開拓されているのはそのうち約2割弱に留まると言われている。従って、農業部門は外国企業にとって投資機会が豊富であり、スーダンにとっては大きな裨益効果が期待できる産業と言える。
 日本を含む先進諸国の農業機材(トラクター、収穫機、送水ポンプ、削井機、回転散水機等)や、スーダンの高温乾燥気候に適応可能な農作物の種子に対する需要が大きいと思われる。

(2)自動車部門
 2017年~2020年10月の年間平均自動車輸入台数は約5万2,320台(うち新車が8割超)であり、スーダンの自動車市場の規模は他のサブサハラ・アフリカ諸国と比べて相当程度大きいものと判断し得る。また、政府は今後、中古車輸入と正規代理店以外の自動車輸入の全面禁止を検討しているとの情報もあり、これが実現すれば正規代理店の新車輸入にとって大幅なビジネス環境の改善が期待できる。
 組み立て(CKD)事業について、現在当地で同事業に実質的に成功しているのは「GIAD」一社のみであり、同社は韓国「現代自動車」と中国「比亜迪汽車(BYD Auto)」社のCKDを扱っている。なお、当地でCKD事業を行うには、「スーダン経済に対する付加価値貢献度(材料費、直接人件費、諸経費を含む売上原価(COGs)の10%)の達成」という条件が課されている。

 完成車(CBU)とCKDの課税率を比較した場合、物品税は前者に120-150%、後者に40-50%、関税は前者に25-40%、後者に0%、付加価値税は双方に17%が課せられ、後者には輸入した組み立て部品・材料に3%課税される。これら課税率の最終確定値は、自動車の原価、エンジン・サイズ、排気量に基づき、関税局が確定する。
(3)電力部門
 スーダン国内人口の約6割が電気にアクセスできない状況にあり、電力部門のニーズは極めて大きい。特に、再生可能エネルギーは政府の重点分野の一つであり、同国は風力発電(紅海州や北方州を中心に国土の約50%において平均風速が4.5m/sを記録)や太陽光発電(平均日照時間が8.5~11時間/日)において高いポテンシャルを有している。

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