海外安全対策情報~平成30年度第3四半期(10~12月)~

平成31年1月22日
海外安全対策情報~平成30年度第3四半期(10~12月)~

1 治安情勢及び一般犯罪の傾向
 (1)治安情勢
     ア 内政概況
         小麦及び燃料,現金不足,また価格高騰が深刻化し,これらに対する抗議活動が12月19日にリバーナイル州アトバラにて発生。
   右抗議活動は反政府運動として全国各地へ広がり,治安当局は抗議者らを退散させるために実弾や催涙ガスを使用,複数の死者も報告
   されている。現12月31日時点で終息の目処は立っていない。
  
  イ スーダン・南スーダン関係
    OCHAの発表によれば、2018年5月27日時点で、76万5千人の南スーダン人難民がスーダンに到着しており、UNHCRの発表によれ
   ば、2018年は新たに合計20万人の南スーダン人難民がスーダンに到着すると見積もられている。スーダン政府は、人道回廊の設置、
        食料支援等、人道支援を積極的に行う方針を明確にしている。
    2018年6月25日より、スーダン政府が南スーダン和平当事者をハルツームに招致し、対話ラウンドを開始したことで、スーダン・南スーダ
   ン間の石油協力を含む南スーダン和平に関するハルツーム宣言が発出。また,7月には治安取決めに関する合意,8月には南スーダン暫
   定政府の体制に関する合意がハルツームにて結ばれた。この間、両国石油大臣間で南スーダン石油生産再開に関する合意が結ばれ、ま
   た、両国貿易大臣間では国境間のヒト・モノの移動の開放につき一致するなど、最近の両国関係は前向きの方向に向かっている。

  ウ ダルフール地域
    3月より、ジャバル・マッラにおいて、政府軍とSLA/AW軍間で衝突が断続的に発生しているが、その他の地域において、政府と反政府勢
        力との戦闘は見られていない。一方で、政府軍とSLA/AW軍の衝突は、新たなIDP(国内避難民)を発生させている。当該期間、ダルフール
        各地において、低い水準でコミュニティー間の衝突が発生し、複数の死傷者を出している。また経済情勢の悪化を受け,強盗などの金品目
        的罪は増加傾向にある。ただし、昨年からのスーダン政府による武器回収活動は、一般犯罪及びコミュニティー間衝突の改善に貢献してい
   る。

  エ 南コルドファン州・西コルドファン州及び青ナイル州
    南コルドファン州・西コルドファン州及び青ナイル州では、第二次南北スーダン内戦時代に南部スーダン側として戦った将兵が多数残存し、
        「スーダン人民解放運動・北部勢力(SPLM-N)」として、政府軍との闘争を継続するとともに、ダルフール地域の反政府勢力と連携し、スー
        ダン革命前線(SRF)を形成している。
         政府と南部2州武装勢力との間では、長期にわたり事実上の停戦状態が維持されており、帰還民の増加を促している。他方で、各州にお
        いては、伝統的な部族間抗争が継続している。

      オ アビエ地域
          同地域は、スーダンと南スーダン両国が領有権を主張している係争地であり、両国が締結したアビエ地域行政治安暫定措置に基づいて、
         非武装地帯とされており、国連平和維持部隊「国連アビエ暫定治安部隊(UNISFA)」が同地域の治安維持を担っている。
         同地域では、ンゴック・ディンカ族とミッセリーヤ族との部族間対立が存在し、また、スーダンの治安部隊と考えられる部隊がアビエに駐屯
          し、スーダン人民解放軍(SPLA、南スーダン国軍)の活動も確認されているなど、比較的安定しているが、予見可能性は低い。その一方
          で、アミエト共同市場は繁栄しており、同市場を巡る犯罪件数の増加が直近の課題ではあるものの、両部族の交流の場となっている。

(2)一般犯罪
     ア ハルツーム州の一般犯罪については、治安機関関係者等によると、犯罪は増加傾向が続き、特に、スーダンポンド安や物価上昇に伴う経
         済情勢の悪化が原因とみられる、ひったくりや車上ねらい等の金品目的犯罪が増加しているとされ、外国人が被害に関わる事件も報告さ
         れている。また、当地治安当局関係者によると、詳しいデータは公表されていないものの、上記のとおり強盗や窃盗、薬物犯罪に加えて、
         本年に入り性犯罪及び暴行事件が増加傾向にあるという。

     イ 未だ政府と主要反政府勢力との停戦が実現していないダルフール地域や南部各州においては、依然として武装集団による犯罪行為の発
         生がみられており、同地域で活動する国連職員及び国際NGO職員等にとって、注意すべき情勢が続いている。
 
2 殺人・強盗等凶悪犯罪の事例
(1)殺人
    当該期間における邦人の被害事件は認知していない。
(2)強盗
    当該期間における邦人の被害事件は認知していない。
(3)強姦
   当該期間における邦人の被害事件は認知していない。
(4)その他
     ア 在留邦人女性が、ティルハル(注:個人でタクシーを手配するアプリ)のタクシー運転手から性的嫌がらせを受けたという事案が数件報告さ
         れている。一つには、後部座席に座っていたにもかかわらず、道案内を求め助手席に座るよう言われ、卑猥な言葉をかけられたり、体を触
         られたという事例も報告されている。
    
     イ 11月16日(金)午前、在留邦人がハルツーム2に所在するスポーツ施設付近の路上にRVを駐車中、左右のサイドミラーを窃取された。
         また、同月20日(火・祝日)午後3時頃から同5時頃までの間、ハルツーム2に所在するレストラン「オゾン」南側の路上に駐車中、車内を物
        色され、50スーダンポンドを窃取された。

3 テロ・爆弾事件発生状況
  ○ ISILに武器を密輸していたスーダン人男性の起訴
    2018年9月,国家情報治安庁(NISS)は,ISILに武器を密輸していたとして,ISILに所属し,紅海州ポート・スーダン在住のスーダン人男性
    をハルツームのテロリズム法廷に告訴した。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
   当該期間における事件は認知していない。
 
5 対日感情
   スーダン国民は、大使館やJICA、NGO団体の各種活動、日本製の自動車及び電化製品等の日本企業の良質な製品を通じ、一般的には日本に対して良好なイメージを持っていると思われるが、知日家、親日家と呼ばれ、日本の文化慣習に深く理解を有する人々はそれ程多くはなく、在留者の多さとその見た目から中国人に間違われることも多い。また、イスラム教を背景とした突発的な事件(イスラムへの冒涜行為、飲酒に関する事故)等が発生した場合には、対日感情が急激に悪化する可能性がある。
 
6 日本企業の安全に関する諸問題
   関連情報なし。